2015年7月15日 (水)

食べ物の力  

 数年前、夫が突然ギックリ腰になった。一人では殆ど動けないので、やむを得ず私も仕事を休み、近くの整形外科に付き添った。マッサージを受けたり、電気を当ててもらったりしたようだが、急に良くなることもなく、しばらく仕事を休むことになった。

 わが家は、子供のいない共働き世帯のため、平日の夕飯は各々が外で済ませる。普段はそれで良いが、動けない相手を放っておくわけにもいかない。仕事を早々に切り上げて、慌てて帰ってくる日が続いた。

 とは言っても、帰ってから作る時間はないので、駅ナカかデパ地下で惣菜などを買って帰るだけである。緑黄色野菜がたっぷりの温野菜サラダ、夫の好きな中華風の炒め物や餃子、春巻きなどを選ぶ。私の好物、奈良の柿の葉寿司も、やはり外せない。そうそう、ビールのお供も少し買っていこうbeer

 その甲斐あってか、夫は少しずつ良くなって、四日目の夜に私が帰ると、夕飯の支度をしていた。

「ちょっと、そんなことしていて、大丈夫なの?」

 驚いて思わず声をかけると、夫が振り向いて応える。

「大丈夫、そろそろ動かないと。家に帰って来て、ご飯ができてるっていいでしょ」

 その日のメニューは、夫曰く、鳥の唐揚げに肉じゃがだった。うーん、作ってもらって文句を言うわけじゃないが、これって、肉じゃがなの? 私が思うに、肉じゃがって、もっと味が濃いような気がするけど……wobbly  『肉とじゃがいもの和風スープ』、とでも名付けたくなるような一品であった。

 私の心の声に気づくこともなく、どうやら本人は、久し振りに作った夕飯が上手くできたので、かなりご満悦の様子。

「お腹が空いてる時に、すぐ食べられるのって嬉しいわね」

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 いつもは、夫の気に入らない所ばかりに目がいくが、この時は心底見直して、本当に良い夫に思えたものだ。いやはや、食べ物の力は絶大である。

 今回のごちそうさま日記も、 エッセイグループ「ごめんあそばせ」の方の作品をご紹介しております。

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